■ 「あなたはとんでもなく安らぎの人だった」

いや、限定するのはよくないな。
でもまぁ、諸外国じゃあ「あなた」も「あなた方」も似たようなもんだし。(ノーモア６月の会理論


手繰ろうとしてる。
一度は拒んだ記憶さえも。
何が自分の破片になるかわからない。
そんな冥利だった。
気付くの遅いって？
いやいや、気付いてたって何か変わったか？
それでいいんだよ。
必死で手繰れば落ちている。
あなたは、あたしだけしか知らなくても一番の哲学者。
追い越せるか決着が着くまではまだ少し時間がある。
見てろよ。
あなた、あたし。

あたしのやってることって間違ってるよね。
天国から必死で梯子を降ろして「おいで」。
手が疲れてちぎれそうで、
手以外冷気に蝕まれた。
それでも決して離さなかった。
そして梯子を使って地上へ降りたんだ。
虚ろに微笑んで地獄へ降りるとこう言った。
「おいで」。

来ちゃ駄目、おいで、一人にしないで…早く来て。

うん、間違ってる。
わかってるんだよ。
そんなこと全部は言えないから、
僅かしか伝わらないなら言わない方がいい。
そしてまた傷つけ、傷つく。

春なんて来ない方がいい。
寒いのは、もう慣れた。
説明出来ない涙の方が怖いさ。
もう連れていかないで。
嫌だよ。
冬のうちに。

「格好いい」なんて一体誰が言った？