■ 「私が汚れたら ためらいもなく捨てて欲しい」

傷ついた人間は人の痛みがわかる人間だ。
漸く、その意味を実感する時が再びやってきた。
だからあたしは救って救われたのか。
それにどれだけの時間を要しても。
それを全て知った上で暴走する自分、最低だけど懐かしい。
戻ってみたいぐらいだ。
前だけを向いて生きる人間が持て囃される中で、
あたしは一人、忘れものを振り返らない人間を尊敬できずにいる。
だから傷つくんだね。
いっそ忘れものになりたかった。
それを見つめて苦しむなんて悲しすぎるよ。
否定なんかするつもりはない。
でも肯定はできない。

そんな人の気持ちを汲みすぎていつでも手を差し伸べてあげられてるね、
と優しすぎる分析を受けた。
その時は深刻に沈んでいたから、笑って否定することに精一杯。
本当はあたしこそ誰かに手を差し伸べられたかったなんてことまで考えた。
掴む糸が脆すぎたらあたしが強くなるしかない。
笑顔がそこにあって助かった。
だからあたしなんかに手を差し伸べてくれた人には、
やっぱり全力で何かできないかと考える。
そんなん繰り返すだけで十分忙しい。

また怖い。
自ら要らない法則を見い出して、
目が覚めて意識を取り戻すことに怯えてる。
今度こそって考えただけで。
嫌だよ。
あたしは、あたしだけは。
どうかせめて笑っていられる力をください。