■ 救世主はいつも花を売る人

あぁ何やら周囲が騒がしい。
そして自分が。
この鼓動に埋もれて忘れてしまえれば、
悪魔を倒してしまえれば、
人並みに楽になれるのにな。

とは言え。
白い上弦の月を眺めながら、
夕暮れに愛おしくなったりして。
変になってしまったようだ。

ただそれが当たっていたとすれば、
あたしは更なる幸せへの大きな一歩を踏み出したのだ。
…たぶん。

現実スレスレだとしても、
答えになってない答えがやけにリアルだ。
そして鮮明なのだ。
景色も気持ちも。

逸る。
早く会いたい。
一日が長い。
一秒が長い。
その間に失ってしまったらどうしよう。
全てが嘘だとしても。
愛されてた事は形になったから。
この手で掴める形に。

すごくすごく愛しくて。
あたしだけが知らないはずの秘密も。
君が自分から言いたがった理由も。
嫉妬の耳打ちも。
足りなかったものを埋めるように。
周りからこぼれる形。
嘘は吐いてないよ。
単純だから理解らないよ。

だけど必要な第三者の視点まで。
完璧じゃないの。
そうやって歩んできた。
損得だか何だか知らないけれど。
真面目に還元されれば満足よ。
これからはそうやって。
行けるところまで一緒に。

これだからツンデレの扱いは大変なんだ！