■ 遠い歌姫の憂鬱。

頭を撫でられるのが好きだ。
存在しない歴史が蘇るから。
最近確率したはずの定義がブレてきた言葉。
贅沢だな、あたしは。
それでも抱き締めてくれる人がいるらしい。
ただ一つ言っておく。
あたしなんかのために涙を流さないで。
本当は嬉しかったよ。
「名前」を覚えててくれたこと。
すごく、すごく、嬉しかったから、
一人でふらふら水面に向かおうと思った。
綺麗に見えるかな。

あなたの向かう場所は逆立ちしてもあたしには届かない。
でも、
あたしの向かう場所も決してあなたには届かない。
心配するな。
それを忘れたわけじゃないんだけどね。
その道が別れたって出発点は変わらない。
だって、きっと奇跡だから。
…変わってないな。

いや、180度変わってしまったよ。
本気の目的。
カメレオンさん。
全部本気の発言なのだから、タチが悪かったりね。

重症らしい。
何やら夜目覚めた幻。
小声で言ってやった。
「越えたでしょ！」
「…聞こえないな」
「だから…越えたでしょ！」
本当はあたしにそんなこと言われるの悔しいだろう。
それでも、あたしはあなたを越えるために。
どうにかしてあたしを越えるために。
笑って消えんなよ。
怒るとか、はたまた泣くとか方法はあるだろう？
どうして、また追い付けなくさせるの？
全てをぶつける場所を作り出したっていいでしょう。
また会いに来てね。
必ず越える。
越えられないってわかってて大声で言う。
あたしの時計は進んでるよ。

自らを霞ませてはいけない。
抱き締めるとき、上手く見つけてもらえないでしょう？